逆戻り

冬に戻ったような寒さが続く。
春だ、春だ、と浮かれてしまった素足に冷たい風が吹き付ける。

勤務先でも密かな人事異動の噂が囁かれ
またも所長が転勤だとか。
福岡の営業所も大きくなりすぎて、東へ分離されることになった。

そして３月末には転勤していったＳさんがとうとう辞める。
福岡でも、転勤先でも、職場の環境は良くなかった。
引き継ぎ出来るアルバイトが見つからないので
かなり引き留められたらしいが、
もう我慢しなかったそうだ。

結局、何の役にも立てなかった。
数ヶ月前、相談されて「もう充分義理は果たしたんじゃない」
と答えたぐらいか。
少しずつだが就職難は解消してきているようなので
きっと彼女には良い転職先が見つかるだろう。

辞めていく人たちを思うと
辞めずにしがみついている自分が、どうも醜く見えてくる。
表だって状況を改革するでなく、大した行動もせず。
うまく立ち回っているつもりで
結局現状を我慢しているだけではないか。

「人がみな自分よりえらく見ゆる日」はうんざりなので
「やれるだけのことをやる」で終わらないように
毎日過ごしたい。