霧

朝から霧が街を覆っていた。

もしかすると、もやだったかもしれないが

視程を計ることが出来ないので、憶測で。



高く晴れた空が好き。

でも霧は特別だ。

遠景の山々は見えず、ビルも近くしか姿を見せない。

傘を広げるほどではない、微少な雨粒が肩を濡らす。

山は見えてなくても、そこにあるのだが

隠されている。

雪が覆い隠すのとは違った意味で

世界の果てがなくなる。



昔、摩周湖で濃い霧に遭遇した時は

数メートル先が見えず驚いたが

今日はそこまで濃くはなかった。



帰宅時間にも霧雨となり

灯りをぼやけさせていた。

街は懐かしい風景に見えていた。

恋のホルモン

バレンタインデーだからではないんだろうけど

恋についての番組や記事を続けて見かけたので。



運命の赤い糸はあるという話。

よりよく子孫を残すためには

強い免疫を作らねばならない。

同じ型を持つ者同士よりも多くの免疫を得られるから

ＨＬＡ（白血球型）の違うタイプに惹かれるのだそうな。



実際にどうやって探すのかというと

フェロモンによる探査になるので

（感じるのは嗅覚ではなく直感だそうだ）

いいニオイがすると思ったら、赤い糸かもしれないと。



うーん、ＨＬＡの違う人間同士が惹かれ合うてのは

理解できる気もするが、フェロモンはどうでしょう。

いい匂いだと思ってても、恋の魔法が切れる頃には

傍に寄らないでと思うかもしれない。

そういうの覚えがある人多いでしょう。



恋が直感なら、一目惚れが真骨頂になるんだが

される方からするとどこ見てんだよ、だ。

人間の行動を遺伝子やホルモン、白血球型などで

説明するのは流行だが、それだけのことか。

各々惹かれる顔が違うのも、遺伝子のせいか。

科学的に解明すれば、失恋も減るか。



恋はそう単純ではあるまいと

ぼんやりと考えている。

靴屋の小人ーその２

あまりの手抜きを見かねてか

最近実家の母が（合い鍵を持ってるので）

留守の間に食事を作ってくれるようになった。



大鍋一杯にスープを作ってくれるし

直径３０センチの皿にポテトサラダ。

食べきれないって！

お腹を空かせた人間を見てられない心情はわかるけど

作りすぎ…。

微妙に味付けが違うので

（母は決して料理上手ではないし）

娘も手をつけない料理を一人で食べて、三日間分。



先日帰宅すると、玄関に香りが溢れていた。

ん？

何の香りだっけ？

下駄箱の上には小さな白い花が投げ込まれた花瓶。

ああ、忘れてた。

そうか、一年ぶりに嗅いだんだ。



実家には敷地面積の半分を占める庭があり

母がせっせと花を育てている。

庭師の知識がそれほど無くても

肥えてよく耕した土は花や木を大きく育てる。

大根、キュウリ、トマト、なす。

ちょい収穫時期を逃して育ちすぎた野菜をどっさりもらう。



そうか、もうすぐ春だったか

と小人が置いていった香り高い水仙の花を見つめる。

チョコ頭痛

昨日は友人と久しぶりにお茶会。

食事もしたのだが

「チョコケーキとコーヒーでお茶」がメインだった。

折しも、街はバレンタイン間近。

チョコ売り場には女性が溢れておるのでありました。

女性達が贈り物としてだけチョコを買って

満足するわけが無く、目当てのカフェの前は

列が出来ている始末。



そういえば自分用に買う「家チョコ」とか

友達同士で贈る「友チョコ」とかが流行っていると

何処かで読んだな。

贈る相手が増えれば、買う人間も増える。

買いに来たついでに一服の人間も多くなるって事か。



目当ては甘くておいしいチョコケーキのはずだったけど

いざ頼んでみると、甘い！

小さなケーキだから、ゆっくり味わって食べてたら

あまりの甘さにコーヒーを二杯頼んでしまい

チョコの味は吹っ飛んでしまった。

何のために食べたんだか。



もともと甘党でない証かな。

お酒のつまみになる方が好きだし

幼稚園時代に梅酒の洗礼を受けたし。

年に何度か無茶苦茶甘い物が欲しくなるんだけど

いつも後悔してるな。



娘に土産として買っていったアーモンドチョコは好評。

「おいしいね。

でもチョコより中のアーモンドの方がおいしいみたい。」

甘すぎて頭痛がしたなんて言わなかったのにな。

やっぱり君も立派な辛党ですね。

トイレットペーパー

書こうとして、ちょっと考えた。

もしかして私は大変恥ずかしい話をしているのかも。

もちろん色っぽい話ではありません。



職場でのトイレの混み具合というのは

食事時間が同じだから、ほぼ時間帯が決まっている。

昼休みが終わる前になると、歯ブラシを持って

みんなが集まるわけだ。

トイレでハミガキって、どうもなじめなかったが

みんながやってると、いつの間にか慣れてしまった。



そのあとは約二時間後に混む。

え〜、つまり消化した頃ですね。

そこで、面白いことに気がついた。

同じタイミングで個室に入るわけではないので

あっちは誰なんだろうな、と思ってる。



と、そこに聞こえる大きな音。

ガラガラガラガラ…

トイレットペーパーを巻き取る音だ。

まるで憎しみを込めたかのように

勢いよく引っ張る様子が浮かぶ。

こういう事するのは、どんな人だろう。



女性が１０人も集まれば、必ずいるタイプ。

自分の思い通りに周りを引っ張り回し

お気に入り以外には無視か、いじめるか。

現在も前の職場にも、いた。

ガラガラとペーパーを巻き取り、勢いよく水を流し

威勢良くドアを開けていく人。

どこでも、あのタイプなんだ。

ほんと、面白いくらい。



で、そういう人ってハンカチ持たずに

トイレットペーパーで拭くからなぁ。

化粧直しより、そっちを気にしてくれよ。