やせがまん

やせがまんって、どういうイメージを与えるだろう。
無理してる。
昔気質。

言ったもん勝ち、の雰囲気が濃厚な世の中。
（案外若い人より「おばちゃん」世代に多いけど）
言わねば損とばかりに自分の権利を主張する声がまかり通る。
そこでは小さな声はかき消されてしまう。

つらくても、甘えず。
友人としては少々寂しいが、気持ちはわかるのだ。
お互いにやせがまんが出来るうちは
「まだ大丈夫」だと。

昔気質は嫌いじゃないよ。
でも、時には愚痴ってもいいからね。

桜

春分の日に出た開花宣言を違わず、桜が咲いた。

花見を兼ねて、娘と映画を見る予定だったが
彼女が風邪を引いたため、断念。
一日中雨は止まぬし、土曜日は仕事を休むし。
と湿った気分になるはずだが…違う。

友人から検査結果を聞いた。
遠隔他臓器への転移は認められず。
来週から始まる治療のあとで手術をするらしい。
「仕事と酒はＯＫらしい」
「医者が酒の話をしたの？」
「晩酌はいいか、と自分から聞いた。」
彼女のあだ名は「わくの旦那」。
全く、らしい質問だぜ。

つわり程度の吐き気とハゲを我慢すればいいのなら受けて立つ！
雄々しい決意を聞いて、揺さぶられた。
「今、死ぬわけにはいかないんだ！」と
血を吐くように叫んでいた彼女なのだ。

おおーい、まだ春の盛りには遠い場所に住む友人よ。
こちらでは咲き始めたよ。
今年も桜の花に会えたな、と深い喜びとともに味わう。
そんな年齢になってきて、桜はますます美しいよ。

逆戻り

冬に戻ったような寒さが続く。
春だ、春だ、と浮かれてしまった素足に冷たい風が吹き付ける。

勤務先でも密かな人事異動の噂が囁かれ
またも所長が転勤だとか。
福岡の営業所も大きくなりすぎて、東へ分離されることになった。

そして３月末には転勤していったＳさんがとうとう辞める。
福岡でも、転勤先でも、職場の環境は良くなかった。
引き継ぎ出来るアルバイトが見つからないので
かなり引き留められたらしいが、
もう我慢しなかったそうだ。

結局、何の役にも立てなかった。
数ヶ月前、相談されて「もう充分義理は果たしたんじゃない」
と答えたぐらいか。
少しずつだが就職難は解消してきているようなので
きっと彼女には良い転職先が見つかるだろう。

辞めていく人たちを思うと
辞めずにしがみついている自分が、どうも醜く見えてくる。
表だって状況を改革するでなく、大した行動もせず。
うまく立ち回っているつもりで
結局現状を我慢しているだけではないか。

「人がみな自分よりえらく見ゆる日」はうんざりなので
「やれるだけのことをやる」で終わらないように
毎日過ごしたい。

きっと

大切な友人なんだ。

彼女は、子供達のためにも
作品を待つ読者のためにも
もっと長い時間を生きるはずだ。

今年も来年もずっと
黄金のトウモロコシ畑で笑っているはずだ。

私はきっと、彼女にも子供達にも会うんだ。

顔を上げて

たくさんの新しいことが始まっている。退職していく友人、新しい制服のこと、細々と書きつづるつもりだったが今日は勘弁してくれ。

離れている友人から来たメールに驚き、取り乱している。
私が取り乱しても、何の役にも立たない。