訪問者

そういえば日曜の朝に昔の知人が尋ねてきたんだった。

娘が応対に出て（私は爆睡中）

聞き慣れぬ名前にとまどっていた。



彼女は学生時代の知人で同じ美術部に所属していた。

娘が生まれたばかりのころ、ある日出合って

悩みを話したのをきっかけに彼女に頼ってしまい

あの宗教に誘われたのだ。



世間話をしに来たのではあるまいに

なかなか本題に入らない彼女につきあうのは嫌になり

足が痛いのでと嘘をついて切り上げた。

（本当は起きたばかりで行きたかったのさ、トイレに）

去りぎわに「私、また頑張るから！」と

笑顔で去っていった。



離婚した直後、娘を連れて同窓会で話したのだが

全く覚えていないようだ。

つまり、その当時は私のことなど関心がなかったわけ。

「頑張る」って、彼女たちの言う「折伏」なんだろう。

本当に悪いが、折伏されていた頃より

今の方が何倍も自由で幸せなんですが。



折伏や新聞の点数稼ぎにいい材料が手に入ったてなつもりで「頑張る」なら、断固断る。

まっぴらごめんだ。

そして、昔とは違って

自分の頭で考えて自分で行動するのが当たり前だって

気がついたんだよ。

友人の顔をしてやってきたって

縁を切るのは厭わない。