かたち

テレビで「珍敷塚」の装飾古墳が紹介されていた。

ここに残る壁画と、エジプトのものに共通点があり

両者を繋ぐものがベトナムにあるらしい。


壁画は舟と太陽、鳥によって構成されている。

時間も距離も遠く離れた場所で

共通のイメージを描いた人々がいる。



これらの単純な「かたち」に込められた思いを汲むには

情報過多の私たちは適任ではないのだろうが

思いの深さは伝わっている気がする。



「ファンタジック・チルドレン」というアニメ番組を

深夜にやっている。

最近見ない単純な造形の顔は表情を表しにくく

加えてヒロインの少女は何を考えているのかわからない。

迷路を辿るようにストーリーは一向に進まず

いらだって幾度か見なかった回がある。



それでも見ているのは、キーワードでもある「かたち」だ。

彼女は心の中に「かたち」を持っていて、絵に描く。

意味はわからないけれど、思いのつまった「かたち」を。

単純な幾何学模様に、意味を求めて彼女は旅をする。

ここに出てくる絵は美しい色と形をしている。



謎解きの面白さもあるけれど、「かたち」に込められた思いと

流れる音楽にひかれて見ているんだと思う。



思いを何度も塗り重ねていくと

きっと抽象画になっていく気がする。



単純で力強い「かたち」に。