乳母捨て島

帰宅途中のバスで、後に座っていた女性二人の会話。

「○○先輩、格好良かったよねぇ。」

「うんうん。」の若い女性らしい会話から始まった。

聞いていると、片方しか話していない。

相手は、相づちを打っているだけだ。

きっと、これでも話が弾んでるって思うんだろうな。

これはまだいいうちで

二人がそれぞれ自分の話しかしていない場合もある。



で、今日の話し手は、ほとんど独り言を言い出した。

「私って、めんどくさがりじゃない？

何でもめんどくさいのよね。」

「そうね」

「もう、生きてること自体、めんどくさいっちゃん。

死にたいー。法律改正して、７５歳以上は島流しとか

してくれんかいな。

カリブの海に浮かんで死にたいなぁ。」

「いいよねぇ」

「いいやろー。死にたいー。」



きっと毎日面白くないとか、いい男がいないからとか

しょうもない理由で口走るんだろうが

それでも、７５歳までは生きる気でいるようだ。



食べるものもなく、家もなく、病院もなく。

（合法的な乳母捨てをやる政府ならやりかねない）

７５歳になったら、途端に生きる欲望が消えて無くなる

わけではないのだ。

想像力に乏しい人だな。

目に浮かばないか、南の島の地獄が。



でだな、政府は必要のないお金は使わない。

カリブなんて行かせるわけない。

さんざん働かせて、税金取るだけ取ったら

日本の埋め立て地行きかも。

そこで、乳母捨てと言いつつ肉体労働させて

一石二鳥とほくそ笑まれるかもしれん。

何をされても文句は言えない。

若い頃に、自分がその当人になるなど思いもせず

法案の成立をよそ見し、陰ながら歓迎したから。



人間の死亡率は１００％なのよ。

焦らなくても死にますから、事あるごとに

死にたいと口走るのは、もうやめてくれ。