退屈しない

「ねぇ、お母さんは退屈することないの？」

寝かけた娘が聞いてきた。

ほとんど、無いなぁ。

取りあえずノートと鉛筆さえあれば退屈なんてないし。

なきゃ、いろんなものを見て、ビックリして面白がってる。

工事現場も面白いし、苦手な機械を眺めると驚きがあるし。



テレビのチャンネルを野球に占領されて

ふてくされた中学生の私は、考えた。

世の中の大人がこんなに面白がってる、てことは

もしかして、本当に面白いのかもしれない。

面白がってみようか。



で、その目で見ると、面白かったのだ。

ルールがわかってくると、もっと楽しかった。

ひいきのチームの勝ち負けに一喜一憂し

優勝パレードに感激する。

近くの店の祝賀の樽酒を飲みに行く。

（ちなみに、地元ホークスのファンです）



話は変わるが、恩師の言葉を。

「山は紫に煙る、という言葉があるが

自分はあれを５０過ぎて初めてわかった。

本当に紫色なんやなぁ。」

美術部の顧問で、彫塑を作る先生だった。

その彼が、新しいものを見つけた子供のように

興奮してしゃべる。



わかっている、うまく出来る。

そういうの、つまんないのかもしれないなぁ。

もう、３０年近く前の事だが

妙に覚えている。