結末

夏が来たと書いた途端に、次の日は集中豪雨だよ。

昨日は朝から会社の中が重苦しかった。
先週末、次長直々に東のある人物について
「洗い出せ」と指示が来ており
作った資料を取りに来ることになっていた。

私の出社前に来るはずが、豪雨のせいで11時に。
だが、どうも様子がおかしい。
資料の受け渡しじゃないぞ。
えっ、その紙は退職時の返却用品一覧では？

次長のレビューでようやく認めた彼は
本社に報告され、辞職を決めたらしい。
「３度も聞いたのに一切認めなかったんだぞ、あいつは！」
所長はそう言って怒っていた。

「あいつ、帰って奥さんにどう言うんだろう」
いなくなった席を見て、呟く人。
なんて結末だ。
誰もこんな事望んでいなかった。

そして、東のあの人。
「こんなことぐらいで辞めさせられんやろ」と
大きな顔して笑っていたそうな。
申し訳ないが、私が作った資料はごまかせないと思う。
勝手に上司の印鑑を使用した罪も明白。
あなたも簡単には許されまい。
次長、膿は出し切るつもりだ。

夏雲

暑い。
首にかけたタオルがあっという間に使い物にならなくなる。
（うちでは今年もエアコン使用しない予定）
もう、すっかり夏だなとカレンダーを見る。
７月１日か。
父の命日じゃないか。

あの日が暑かったか晴れていたか、すっかり忘れた。
ただ戒名に「夏雲」の文字があるので
夏空に浮かぶ入道雲のイメージが定着している。

母から連絡をもらって駆けつけた時には
既に霊安室にいた。
安らかな顔だった。
例え話せなくとも、眠ってばかりでも
父は家族を守ってくれる壁だった。
壊れた壁を乗り越えて来るものと
自分の力だけで向き合わねばならなくなった。

それは元夫が作った店の開店日だった。
開店に遅れるからと、彼は出かけていった。
友人達が「代わりに店に行ってやるからお前はついててやれ」
というのも振り切って。
誰が作った資金のおかげだ、と思った。
恥ずかしい話だ。
彼にとっては生きていく自分の方が大切だっただけだ。
それだけのことだ。

入道雲が浮かんでいる。
夏が来た。

１ヶ月も

腹の立つこと、第２弾。

６月初めだった、Ｓさんが面接に現れて大喜びしたのは。
あれからおよそ一ヶ月。
私の隣に作られた新人用の机は空いたままだ。

Ｓさんからメールが来た。
「あれは、いったい何だったんですか」という謎のタイトル。
今日、Ｓ事務社員から電話があったらしい。
何の連絡もないままだったので諦めて
ハローワークで紹介してもらい、決まったと伝えたら
「そうですか」とだけ言って電話を切られた、と。

何だよ、それは。
会社の代表としてかけておきながら、謝りもせんのかい！
情けない。
給料が安い、本当は事務社員希望じゃなかった、うんぬんと
愚痴ってばかりのあなた。
奥さんから「給料が安すぎる」と怒られ
毎日小さなカップラーメン一つで耐える話は多いが
その前に、もう少し考えようよ。

今度こそ、と思っていたのに。
「また一緒に働けると喜んでいたんですが」という文字を見て
たまらんかったばい。

でも、Ｓさん。
きっとあなたを認めてくれる人や会社はあるからね。
「今度の勤務先はいいですよ！」という明るい声を待ってます。

腹を立てる

私が３０歳若ければ「むかつく」と言ってるのか。
（結局は使わぬまま、年を取ってしまった。）
最近あまりにも腹を立てる場面が多かったので
「私って、本来は怒りん坊だったか」と感慨にふけったではないの。

一昨日は自治会とのトラブル。
年に二度ほど団地内の全戸参加で
日曜の朝に清掃活動が行われている。
もとは参加していた活動だったが「障害者免除」が認められて久しい。
ところが、子供会の研修に参加した日の「免除金2,000円」を
組長が徴収に来たのだ。
免除だと思っているから参加しなかったのに
何故急に徴収に来るのかわからず、自治会の会計に電話してみた。

その説明だけを求めるつもりだったのに
文句を言い出すと勘違いされたか、やおら元夫の悪口が始まった。
「だいたい、あなたが免除なんて誰も認めてなかったんです。
もっと身体の障害がひどい方だって参加されているんです。
それを無理矢理あなたの旦那さんが…」

そのときに言えなかった文句を私に言われてもなぁ。
離婚した後まで「申し訳ありませんでした」という必要はないでしょ。
だから、とにかくこれから参加するからと
先日の分は免除を認めさせた。
そして「これからは、どうぞよろしくお願いしますね」と
にこやかに電話を切った。
けど。

３年前、名字が離婚によって変わりましたと
あんたにきちんと電話したんだぞ。
だから、その「怖い」旦那がもういないことも知ってただろ。
しかも、同じ階の人たちは私が働けることも
片手ならば草むしりぐらい出来ることもちゃんと知ってる。
なんで３年もの間
「毎年あなたの事をどうしようかって話し合ってました」になるんだよ！
「今年から免除はやめることにしたんです」ってんなら
誰一人、電話も文面でも口頭でも伝えなかったのはなんでだよ。
決まったのは４月の総会だろうが。

おばあちゃん相手に大人げないよな。
彼女に会計を長年続けさせるのが良くない、と怒りのあまり
次の年は立候補しようかと思ってしまったよ。

あまりに長くなったので、続きは分けます。

証拠

今日は朝から次長が来る日。
普通より気張らねばならぬ事を皆が嘆く中
私は「今日辺りか」と思っていた。

朝礼のスピーチで苫小牧の会社の話が出る。
「初めは小さな嘘だった筈だ。
それがばれないと知ると、毎回嘘を重ねていったんだ。」
明らかに、あの事だ。
「毎回嘘を重ねていくような者は
管理職も所長も私もフォローしないからね。」

夕方外回りから戻ってきた担当が次長と長いレヴューに入る。
所長と管理職が「どうします、かばってやった方がいいんですか」
「いや、そんな事したら…」と相談している。
レヴューから二人は１時間以上戻ってこない。
「どうなったんだ」とまた相談していたら戻ってきた。
次長は鬼のような顔をしている。
そして私が呼ばれた。

「これまでの証拠書類を１～２年分、全て集めろ」
ええっ、古いのは倉庫行きですし
先日処分して良いと言われたばかりですよ。
もう終業時だったが、気になるので倉庫まで同行した。
汗だくになって一部のみ発見。

でも、これって何の為に探したんだろう。
つまり彼は認めなかった。
朝のスピーチからすると、証拠固め。
お客様に電話までして証拠書類も提出したのに。

それとも、他の人に比べてエリアも広くて忙しかったからって
目をつぶってやる？
そんなことしたら、どうなるんだ。
認めさえしなければ罪に問われないなら
今後も巧妙に続けるだろう。

いや、まさかそんなことはね。
明日聞いてみるか、所長に。
もしも見逃すなら、この会社は終わりだ。